「自分の選択に責任を持て!」【ゲスト:西井敏恭さん】

みなさん、こんにちは!TABIPPO編集部の西嶋です。

今回は、1月25日にTABIPPOオフィス本社で行われた講義 「最強の旅人マーケターと考える『旅とマーケティング』。」の様子をレポートします。登壇者は、株式会社シンクロの代表取締役社長、西井敏恭さんです。聞き手は清水直哉さん。※ゲストプロフィール詳細は、文末に記載しております。

 

二度の世界一周を経て

今回の登壇者は、マーケティングのプロ、西井敏恭さん。デジタルマーケティングフォーラムad:techをはじめ、全国で登壇されているほか、雑誌や新聞、テレビなどのメディアにも登場されている超有名マーケターです。

西井さんは、2003年と2014年の二度、世界一周を経験されています。一度目の旅から帰国すると、株式会社ドクターシーラボに入社。二度目の旅のあとは、デジタルマーケティング支援の株式会社シンクロを設立されました。オイシックス・ラ・大地株式会社のCMT(Chief Marketing Technologist)、家族型ロボット「LOVOT(らぼっと)」の開発・販売を手掛けるGROOVE XのCMOも務められています。

一度目の世界一周は、大学を卒業後、1年間働いたあとのこと。SNSもブログもない時代でしたが、ホームページを開設し、旅行記を発信して人気を集めました。このときの発信をきっかけにWebのおもしろさに目覚め、eコマースの世界に飛び込んだそうです。

二度目の世界一周では、旅をしながらマーケティングのコンサルティングをされていました。そして帰国後、「これからは多様性が必要な時代。スキルがある人が働きやすい会社をつくりたい」というオイシックスの熱い思いに応える形に共感して、兼業として入社。上場企業であるにもかかわらず、西井さんに入社してもらうために会社のルールすら変えた(!)そうです。自分の会社の社長と上場企業の役員という両方の道を「2倍働けばいいや」と、どっちも突き進むことにしたそうです。

株式会社シンクロは「チャレンジすること」「未知の場所にいること」を奨励しており、社員全員がバックパッカーだそう。西井さんの140か国を筆頭に、渡航国100か国、70か国の猛者がそろっており、渡航国40か国以下の人は「出不精」、20か国以下の人は「引きこもり」と呼ばれるそう……!

2022年のカタールワールドカップでは、カタールに家を借りる予定。ワールドカップまでに、社員全員がリモート勤務できる環境を整えることが目標だそうです。

 

Q.デジタルマーケティングって何ですか?

西井さんのマーケティングの定義は「売れる仕組みづくり」。「売る」ではなく「売れる」、「たまたま一度だけ」ではなく「仕組み化」がキモだそう。

IT技術が発達したことで、消費者はモノを買うときにあれこれ情報収集するようになりました。それまではマスメディアが影響力を持っていましたが、今やその力は下降気味に。広告よりも、「その商品を使った人の体験談」が購入の決め手になっています。

たとえば家族型ロボットを例にとると、購入した人の「家に帰るのが楽しくなった!」という口コミが、他の人の購買につながるようになりました。つまり、マーケティングが重視すべきは「売ること」ではなく「売った後」になったのです。

また、ユーザーの行動が追えるようになったので、一人ひとりに合わせた提案も重要に。Amazonの「この商品をチェックした人はこんな商品もチェックしています」ですね。

「これは恋愛と同じです」と西井さん。「今日連絡先を交換したばかりの人と、すでにデートを重ねている人とでは、LINEの内容も変わってきますよね。ユーザーによってアクションを変えるのが、マーケティングのカギなのです」とおっしゃっていました。

 

Q. 旅を有意義にするために意識していることは?

清水さんによると、「西井さんと一緒に旅すると、その視点にハッとさせられることが多い」。そんな西井さんが旅を有意義にするためにやっていることとは?

西井さんは旅しているとき、現地で流行っているアプリを教えてもらい、すべてインストールするそう。実際に使ってみると、「こんなにユーザーが多いのに英語対応してないんだ!」などと、機会損失やビジネスチャンスに気づくこともあるといいます。

また、マーケティングと旅の関係として、「意思決定」を挙げていました。「旅している間は、普段の10~20倍もの意思決定をしています。何時に起きてどこに行くか、この先を右に曲がるか左に曲がるか、バス停までどうやって行くかなど、その数は数えきれないほどですよね。旅の間にこうしたユーザー体験を積んでいるからこそ、マーケティングにおいても、ユーザーの気持ちをイメージしやすいのだと思う」とのこと。

清水さんも、「確かに西井さんは、柔軟ですよね!年齢が離れている学生とも同じ目線で話していますもんね」と納得の様子。

「旅は先入観なしにしないとつまらない。だから、普段から先入観はあまりないほうかもしれませんね」とのこと。若者世代のものと思われているタピオカも、西井さんは普通に召し上がるのだとか!

 

Q. なぜここまで成功できたんですか?

「主体的に動くことが楽しいと気付けたからかな」と西井さん。「旅先で『●●人ウザい、嫌い、日本に帰りたい』って愚痴ってる旅人がいたけど、●●という国に来るという選択をしたのは自分。それを愚痴るのはダサいと思ったんだよね」。

自分の選択に責任を持つことの重要性は、仕事にも言えること。嫌だ、辞めたいと言いながら働き続けるのはダサい。辞めたいなら辞めればいいという考えだそう。

また西井さんは、旅を通してあらゆる経験をしてきたから、もはや仕事にはまったくストレスを感じないのだとか。「マラリアには2回かかったし、アフリカで交通事故に遭ったこともある。40℃超えの中、ぎゅうぎゅう詰めのバスに56時間揺られたことも。あれもこれも乗り越えてしまえば全部話のネタになるからいいと思ってる」とのこと。

こうした旅の経験があるからこそ、ちょっとやそっとのことでは動じないようになり、どんな仕事でも楽しめるんですね。「仕事が忙しくても、お金がなくても旅はできます。無理やり外に出ることでいろんな世界が見えるし、そういうチャレンジをしてほしい」という西井さんからの最後のメッセージも、強く響いたのではないでしょうか?西井さん、ありがとうございました!

 

ゲストのご紹介


オイシックスドット大地株式会社 CMT / 株式会社シンクロ 代表取締役

世界一周したWEBマーケティングのプロとして、デジタルマーケティングフォーラムad:techをはじめ、全国で講演多数。雑誌や新聞、テレビなどのメディア掲載多数。2017年10月「デジタルマーケティングで売上の壁を超える方法(翔泳社)」を出版。 2003年から世界一周の旅に出て、アジア・南米・アフリカ各地でインターネット上に旅行記を更新。

「世界一周私の居場所はどこにある?(幻冬舎)」を出版。さらに2014年に二度目の世界一周をして南極大陸にも上陸。帰国後はEC企業にてSEOからアフィリエイトまで広くWEBマーケティングに取り組みながらシンクロを設立。営業には出ないが旅には出ており、しかし旅に出るたびになぜか仕事の依頼が増え、また仕事仲間を強制的にスカウトしてくるのが特技。1975年5月福井県生まれ。金沢大学大学院卒業。

Text:西嶋結
Photo:山崎由香里